林檎に牙を:全5種類
Noisy Kitchen/master 朔花(サクカ)


*創作小説(R15.18含)NL/GL/BL

性描写・同性愛・暴力描写等を含む文章を取り扱っています。
R表記作品は18歳未満の方の閲覧を固く禁止。
バナーを除く此方の文章・画像等の無断転載、誹謗中傷(荒らし)は固くお断り。
管理人と趣向が合わないって方はどうぞご回避を。

*インフォメーション&リンク

*日記&アクセサークル情報&拍手お返事
染まってくだけの日々

*交流・パラレル専用のSS置き場(NL/BL/年齢制限含み)
宝石箱には夢魔が棲む

***

林檎に牙を
女×女、男×男、ジェンダー混線の恋模様
*現代/日常/性描写/NL/GL/BL

new:11/20
頂き物にイラスト一点
あの本で待ってる

「林檎に牙を」から2年前(高校生編)
*現代/日常/学園/友情/性描写/NL/GL/BL

グッバイブルーバード
完結
「林檎に牙を」から4年前(中学生編)
*現代/日常/学園/友情/性描写/NL/GL/BL

読み切り短編

ごちゃ混ぜ作品集
*現代/日常/ファンタジー/人外/流血/性描写/NL/GL/BL

眠れる桃
休止中
妖狐、龍、人間、幽霊…絡まり合う生死と愛
*レトロ/和/ファンタジー/人外/流血/性描写/NL/BL

Stray Mermaid
休止中
娼婦が「人魚」と呼ばれる国の風俗事情
*ゴシック/洋/風俗/性描写/NL/GL



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2020.12.31 
林檎に牙を:全5種類


遠距離恋愛中の鷹とウサギ、女装癖の黒猫と従順な大型犬…
女×女、男×男の同性愛カップル達により織り成される日常。
アダムとイブになれなくても、此れを愛だと信じる獣達のお話。






キャラクター紹介(別窓)

*性描写を含む物はRが付きます。
*up



雪菜×早苗(♀×♀)
身長差/同級生/社会人×専門学校生
卒業を機に告白した事で「彼女」同士になった早苗と雪菜。
いつも一緒には居られなくても。
毒舌家な鷹とおっとりウサギの遠回りな恋。

*ウサギは何にも喋らない/告白
*捻り散らした花弁は淡桜/新生活
 <01>/<02>/<03>/<04>/<05>/end
*Cherry Soda Melancholy/高校三年生の春(1年前)
*違える花の名/一緒に居る為の隠し事



七海×秋一(♂×♂)
身長差/年下攻め/装丁家志望(男の娘)×調理師
昼はデザイン系専門学校生、夜は女装キャバ嬢をしている七海。
ある日、「捨て犬」秋一と気紛れで夜を共にしてしまい…
七変化の黒猫と一途な大型犬の慌ただしい恋。

*お洒落黒猫と遠吠え犬ブルース/初めまして(2年前)
 <01>/<02>/<03>/<04>/<05>/<06>/<07>/end
*オパールの恋人/好き?(2年前)
 <01>/<02>/<03>/<04>/end
*オスカーフレンズ/交際宣言(2年前)
*コバルトブルーの鍵/同棲スタート(2年前)
 <01>R/<02>不定期連載中
*I say nya-o/猫の日.2015
*Magic Rose Jam/口紅遊び

*パンプスを履いた猫/七海+烏丸/キャバ嬢になった訳(2年前)



拓真×遼二
体格差/年の差/製菓学校講師 助手×生徒(♂×♂)
行きつけカフェの「穏やかで笑顔が柔らかい店員」が自分の生徒になった。
助講師の拓真は、店と学校で違う顔の遼二に振り回されてばかり。
包容力豊かなクマと腹黒ヒツジの空回る恋。

*作品数が多いため別窓



一ノ助×蘭子(♂×♀)
体格差/幼馴染/大学生×高校生
親友に彼女が出来た事で、一人の時間を持て余すようになった蘭子。
幼馴染の一ノ助と距離が近付いたり、バイトを始めてみたり。
大雑把な虎としっかり者な文鳥の大人になろうとする恋。

*文鳥はフォークの上に/ケーキの時間
 <前編>/<後編>



楔波×和磨×紫亜
同級生/学園/3P/R18中心/高校生(♂×♂×♂)
学校で有名な不良双子と身体から先に始まった関係。
深く静かに恋愛感情が育ち始める楔波と紫亜、ペット扱いに一喜一憂の和磨。
ドS双子の蛇とゆるふわ龍の茨道な恋。
*はちみる の桜桃 愛さんとのコラボ企画です。

*作品数が多いため別窓

*Ginger&Mint/透子+和磨/君の幸せを願う
*Caramel&Honey/透子+和磨/君には敵わない



劇中劇
*焔のグラナイト/少年漫画、アニメ
*鬼門クラブ/少年漫画



頂き物
*青、藍、若しくは祝福/縹さんからの鞍吉君+和磨/イラスト
*World Vivid/和隆さんからのルビーさん+和磨/イラスト
*歓喜の毛並み/縹さんからの一ノ助/イラスト



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2020.12.31 
林檎に牙を:全5種類


りんごあめBlogさんから頂きました、遥人です。
ただいま低浮上のブログ休止中との事なので、リンクも外してますが
落ち着いたらまたお名前差し替えしますね。

そんな中でも相変わらずお世話になってまして、イラスト頂いてしまったので
やっぱり自慢したくて飾らせていただきました!
前回頂いた大護とは似てない弟、遥人です。
華やかな兄と比べて、ストイックな雰囲気で描いていただきました。
艶々の黒髪が美しい…!
武田兄弟は出てきたばかりのキャラですが、これからもあちこちのキャラと絡むので
交流も合わせてどうぞ宜しくお願いします。

ありがとうございました!

2017.11.20 
林檎に牙を:全5種類
あの本で待ってる

ページを開いて、世界を広げて
そう遠くない昔話
ずっと此処に居るから、待ってるから

たとえ淡い幻だったとしても、忘れないで

  


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2017.11.20 
林檎に牙を:全5種類
ブリキ缶を開ける瞬間はいつも密かに心が躍る。
綺麗な絵柄が多いので可愛い物が好きな嵐山には正に宝箱。
台所のガラス棚に幾つも並んでいた紅茶やお菓子の缶を思い出す。
それらはどれも少し上等で、特別な味がした。

今もまた、此処にはレトロな赤いクッキー缶が一つ。

よく見れば少し色褪せて年季が窺えるが、状態は綺麗なものだった。
細かな擦り傷すら歴史を感じさせて温かみがある。
冷静を装って蓋を開ければ、今まで封じられていたバターの香り。

そうして守られていた中身は、可愛らしい動物達のクッキー。
まるで何処かの絵本を開いたような光景である。


「なんか古めかしい缶だな。」
「あぁ、クッキー作る時にいつも入れるんさ。」

此れらが梅丸の手作りだと云うのだから、人は見かけによらない。
赤毛に涼しい強面、容貌だけは不良じみているくせに。
今日はハロウィン。
お菓子は欠かせないと、嵐山家に来る際の手土産だった。

うちで作っても良いのに。

焼き立てが食べたかったと云うより、過程も楽しんでみたかった。
嵐山も手先が器用なのでこうした作業は苦にならない。
しかし決して言葉にはせず。
男子二人でクッキー作りなんて、想像するとどうにも可笑しくて。

誰が見ている訳でもあるまいし。
中性的な容姿がコンプレックスの嵐山は、その辺りを気にしすぎ。


お菓子には季節感も大事だと、今日のクッキーはきちんとハロウィン仕様。
フクロウとコウモリはココア味、ジャックランタンはカボチャ味。
その二つをバター生地に点々と落として三毛猫。
ただ可愛いだけでなく、尻尾を膨らませて威嚇しているポーズ。

そして忘れずに、ハリネズミのクッキーも。

近年、嵐山だけでなくハリネズミを飼う者は少しずつ増えてきた。
それに伴ってモチーフの雑貨もよく見掛ける。
ふと二人で立ち寄った店、キッチン用品の中で抜型を見つけたのは最近の話。
梅丸がクッキー作りを思い付いたのもその時らしい。

ややずんぐりしたシルエットが何とも愛らしい。
背中のトゲトゲは白黒の胡麻で再現。


「あ、でもユウ、顔の付いた食い物って苦手なんだべか……」
「公君に聞いたな?あんなの昔の話だってば。」

恥ずかしい思い出を知られていても、怯んだりせず睨み付けておいた。
そんなの弱味のうちに入るものかと。

可愛らしい食べ物は口にするのが勿体ない、確かに。
歯を立てれば一気に崩れてしまう。
それでもバターの香りは甘い誘惑、食欲には勝てやせず。

「見えなきゃ良いんなら、ユウ目ぇ閉じとくか?食わせてやっから。」
「また餌付けしてるつもり?」

嵐山が皮肉っぽい言い方をしても、こうなる事は決まっていた。
クッキーを持ってきた時点で逆らえない。
特別な甘党でもなかったのに、梅丸のお菓子を楽しみにしているのだから。
自分の為に作られた物を味わう瞬間は至福。


とりあえず一つ、と梅丸が缶からハリネズミをつまみ取る。
差し出されたら拒否など出来ないじゃないか。
仕方なさそうに嵐山は目を閉じて、尖った歯で食い付く。

甘いカボチャのクッキーとローストされた香ばしい胡麻。
何とも優しい味に、今日だけはもう少し柔らかく接してやろうと思った。


クッキー缶を開ければ、小さなハロウィンパーティの始まり。
あれもまた梅丸にとって思い出を詰めてきた物か。
宝箱を見せてくれたのは、耳打ちで明かす秘密にも似ている。

それなら嵐山も答えなければ。

「紅茶淹れてやるよ、とっておきのやつ。」
「ん、それなん?良い缶なんね。」


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*おまけ



作中のクッキーが此方。
ちょうど作ったところだったので、画像もあった方がイメージしやすいかと。

2017.10.31 
林檎に牙を:全5種類
昨夜から雨を降らせていた厚い雲は、予報通り翌日まで居座り続けていた。
太陽が見えないと体内時計も鈍くなってしまう。
暗い空の下、見慣れた景色はまだ半分眠って淡い灰色の朝。

まったく「雨が好き」だなんて言う人の気が知れない。
そう思いながら遥人が吐いた溜息は、湿った空気にたちまち溶けた。


雨粒から逃げるように乗り込んだ、いつものスクールバス。
緩めのスピードで進む姿は何処となく水浴びをする大型動物を思わせた。
一度腹に収まってしまえば安心。
暖房で曇る窓の向こう、どんなに強く降ろうとも気楽に眺めていられる。

しかし遥人の不機嫌はそう簡単には直るものでなかった。
よくある症状、低気圧による偏頭痛。
飲んだばかりの薬はまだ効かず、バスに揺られるうち酷くなった気さえ。

遥人が乗る頃は出発したばかりなので、座れるからまだ良いものの。
この時間のバスは到着するまでに満員状態となる。
体調を崩している時に立ち乗りは厳しい。
すぐに生徒が増えて賑やかになる、それまでは席で背中を丸めて安静に。

ちなみに普段バイクの兄も愛車を休ませて、今日ばかりは一緒の登校。
早生学園のスクールバスは制服を着ていれば乗車できるのだ。
兄弟だろうと隣り合ったりせず別々、車内の何処か。


そうして目を閉じていた時に予期せぬ事態。
停留所を一つ二つか過ぎた頃、不意に前の席から鋭く悲鳴。

何事かと思えば原因はあちらから向かってきた。
窓枠伝いにゆっくり這う蜘蛛。
なるほど女子が騒ぐ訳だ、なかなか大きめ。

正確には節足動物の蜘蛛だが、昔から虫が好きな遥人は知っていた。
ごく身近な種類であるコガネグモ。
蜂や虎に似た黒と黄の縞模様で、その派手さから警戒されやすい。
獲物を捕らえる程度なら微毒あり。


つい観察してしまうのが昔からの癖。
下手に構わなければ噛まれないし、ましてや飛び回ったりもせず。

黙ったまま目で追っていたが、それも長くは続かなかった。
ふと横からブレザーの腕が伸びてくる。
勢い良く窓を開けて、軽々と払われた蜘蛛は冷たい外へ。


「キャーキャー五月蝿いよ。」

反射的に視線を向けてみれば、呆れた声で前の席を一睨みしたところ。
腕の主は見知った人物だった。
さらさら流れる褐色の髪に切れ長の目。
遥人と同じくらい小柄で華奢な男子だが、これでも先輩。

「そこのお前もボーっとしてるなよ。蜘蛛こわくて固まってた?」
「あぁ、どうも……おはようございます。」
「えっと、名前何だっけ?」
「相変わらず人の顔覚えないですね、嵐山先輩。」

名を訊かれるのは何度目か。
やっと面識があった事自体は認識されたようだ。


毎朝の時間、此処に揃う顔触れは何となく誰もが見覚えがある。
行き先が同じ学校なのだから尚更。
ただ、言葉を交わさなければ繋がりは生まれないけれど。

嵐山は遥人の兄と知人らしく、その関係で一応ながら紹介された。
結び付きなんてそれくらい細い糸だ。
元からお互い愛想が良い訳でもないし、他に接点も無し。
バスで目が合ったら会釈する程度。


「蜘蛛なんて別に……、あぁ、いえ、何でもないです。」
「何だよ、ボソボソと。」

害は無いのだから放っておいても良かったのではないか。
そう思ったものの、やはり遥人は言葉を呑み込んだ。

このままバスの中では餌が取れないので、いずれ死んでいたか。
もしくは心無い者に潰されていたかもしれない。
先程のように騒ぐ女子も居る事だし。
外に追い出したのはむしろ優しい対処とも言える。

器用な蜘蛛は外の窓枠に張りついて、ガラス越しに腹を見せている。
大したスピードでもないので振り落とされたりもしまい。

雨の日では巣が張れないので見られないのが遥人には残念。
コガネグモの糸は強く、雨粒を纏った巣が美しいのに。
待ち望んでいても、どうせいつの間にか居なくなってしまうのだろうけど。


「何なのお前、さっきから辛気臭い顔して。」
「いえ……ただの頭痛です、雨に弱いので。」

最低限の礼儀を弁えつつも、訝る嵐山には素っ気ない返事。

表情が悪いとはよく言われるので慣れている。
今日に限っては仕方あるまい。
具合が悪い時くらい顔に出ていたって良いじゃないか。
笑みを絶やさない者の方がよっぽど胡散臭い。

どうも思考が捻くれてきた自覚。
身体の機能が正常でないと、感情もうまく動かない。


「じゃ、コレやるよ。」

余計な事を口にせぬよう、もう黙ろうと思ったのに。
再び俯きかけたところで紅色が視界に映った。

嵐山が差し出してきたのは、ミニペットの紅茶。
玉の雫が流れるくらい冷たい。
あまりにも思いがけず、遥人が戸惑ってしまったのも無理はない。


「低気圧なら偏頭痛だろ?冷やせばマシになる筈だから。」
「え……、あの、良いんですか?」
「別に、自販機で間違えて買った物だし。僕は要らないよ。」
「ありがとうございます……」

遠慮しながらも、素直に受け取ってしまった。
暖房でぼんやりしてしまう車内には心地良い冷気。
飲んでも良し、額に当てても良し。
お陰様で、薬が効くまでの間を乗り切れそうだ。


また次の停留所でバスは足を止める。
新たに雨から逃れてきた生徒を一瞥して、嵐山はそちらへ向かって行った。

彼には彼の交流があるのだ。
ドアが閉まったばかりの入り口、頭一つ高い赤味の髪が見える。
挨拶を交わして、此処から遠く離れた席に隣り合う。

今日のところはさようなら。
次に顔を合わせる時、きっとまた遥人に名前を訊くのだろう。


けれど、繋がりは消えた訳じゃない。

思わぬところで紡がれた糸。
伸びていくか、縺れるか、まだ行方は誰にも分らず。



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2017.10.18 
林檎に牙を:全5種類
誰かが寄り添って眠っていても、夢の中は孤独。
自分で作り出した支離滅裂な世界に一人きりで過ごさねばならない。

それが寂しいとは思った事は無いけれど。



低く唸って、目覚めれば放課後の音楽準備室。
滲んだ視界が落ち着かず、手探りのままに眼鏡を掴み取った。
うっかりレンズに触れてしまって少しだけ苦い気分。
押された指紋をシャツの裾で磨いてから、遼二は鼻先のブリッジを押し上げた。

そうして軋む身体を伸ばしたら、すぐ隣の体温に気付いた。
ずっと傍らで馴染んでいたもの。

いつもの話だ、触れ合った後で眠ってしまった流れ。


「お帰り。」

台本から目を上げて、神尾が言葉を掛けてくる。
しかし、まだ寝惚けているのは彼の方ではないだろうか。

「何ですか、お帰りって。」
「だって朝でもないのにおはようじゃ変だし、現実にお帰りって意味で。」

此処で「お帰り」なんて一声も充分に変なのだが。
突拍子もない言動は相変わらず。
そのたび返答に困ってしまう身にもなってほしいものだ。
神尾からすれば、彼なりの道理があろうとも。


聞いてないふりで、持ち込んでいたミニペットの緑茶を手に取る。
気怠さはぬるくなり始めた苦味で洗い流して。

潤いが染み渡れば思考も鮮明になってくる。
いつまでも浸っていたいのは山々でも、そうはいかないのだ。
迫り来る日暮れが帰宅を急かす。
不安定な足取りでは電車にも乗れやしない。

それに、今日のところはあまり良く眠れたとは言い難かった。
暇さえあれば微睡みに身を任せる遼二には珍しく。


「ちょっとうなされてたけど、怖い夢でも見た?」
「どうでしょうね……、覚えてないです。」

神尾の問い掛けに、小さな動揺を呑み込んだ。
寝姿を眺めていたのなら確かに多少は察してもおかしくないが。

居心地が良くてもブランケットがあろうとも、所詮はカーペットの上。
眠りが浅ければ夢くらい嫌でも見る時がある。
それも愉快なものとは限らず。

はっきりと内容を覚えている訳ではない、それは事実だった。
けれど夢の中まで知られたくないのが本音である。
深層心理が剥き出しになり、パレットで混ぜかけた絵具に似た混沌。
既に神尾には恥など幾つも知られて、弱みを握られているようなものなのに。

厄介事は半分眠ってやり過ごし、外面を良くして生きてきた遼二の事。
神尾にだけはどうしても遣り難い。

近付かない方が平穏なのではないかと思いつつ、妙に惹かれる。


「うなされてたの知ってた割りに、起こしたりしないんですね。」
「だって夢って映画観てるようなものだし。」

軽く嫌味を込めてみれば、そうきたか。
なるほど実に役者らしい返答。

「途中で止めちゃったら続きは二度と観られないし、勿体ないでしょ。」
「選べないし、好き好んで観てるものではないですけどね……」
「楽しめば良いのに。」
「寝る事自体は楽しいですけど、それとこれとはまた別ですって。」


惰眠を愛する遼二だが、夢を見る事に対してはそこまででない。
すぐ瞼が重くなるのは単に体質と云うか。

一方、神尾は作られた世界を大切にする。
良いものだけでなく、それが苦くとも狂気に満ちていても等しく。
そして彼にとっては夢も劇も同じ。
幕を閉じれば何も残らず消えてしまう儚さも、また愛しいと。

音楽準備室で眠る理由は二人とも少し違う。
やはり夢の中とは独り。
瞼を落とせば、その暗闇は自分だけのものなのだと。


「怖かったら、おれのこと呼んでもいいのに。」
「それは、お断りします。」

神尾の思いがけない言葉はいつも妙に心音を跳ねさせる。
何でもない表情で短い間に整えるものの、気付かれているかもしれない。
それでもやはり遼二は考えてしまう。

実際に呼んでみたら、神尾は何をしてくれるのだろう。

遼二が頷けなかったのは、心を開き切る事が出来ないから。
これ以上の弱みを晒してしまうのは躊躇われる。
恋人ではない、そもそも好みではない。
そうやって口に出さないまま何度も繰り返してきた言葉。

ああ駄目だ、まだ眠りの欠片が残っていては。
巡り出すおかしな思考に言い訳して、今日も停止する。



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2017.10.11 
林檎に牙を:全5種類


ういちろさんから頂きました、大護です。
この子も交流でお世話になる予定で、こうして描いていただけて感謝!

俳優の父親にそっくりな息子、て設定により容姿は華やか。
ぼんやりイメージしていた以上に格好良く描いて下さって、もはや眩しい…!
これはモテますね、そんなオーラ出てます(゚Д ゚*)
どちらかといえば明るいし、アクティブなので付き合いやすい子だと思います。

ういちろさん、ありがとうございました!

2017.09.24