林檎に牙を:全5種類
Noisy Kitchen/master 朔花(サクカ)


*創作小説(R15.18含)NL/GL/BL

性描写・同性愛・暴力描写等を含む文章を取り扱っています。
R表記作品は18歳未満の方の閲覧を固く禁止。
バナーを除く此方の文章・画像等の無断転載、誹謗中傷(荒らし)は固くお断り。
管理人と趣向が合わないって方はどうぞご回避を。

*インフォメーション&リンク

*日記&アクセサークル情報&拍手お返事
染まってくだけの日々

*交流・パラレル専用のSS置き場(NL/BL/年齢制限含み)
宝石箱には夢魔が棲む

***

林檎に牙を
女×女、男×男、ジェンダー混線の恋模様
*現代/日常/性描写/NL/GL/BL

new:08/06
神尾×遼二「君と指切りがしたい」
あの本で待ってる

「林檎に牙を」から2年前(高校生編)
*現代/日常/学園/友情/性描写/NL/GL/BL

グッバイブルーバード
完結
「林檎に牙を」から4年前(中学生編)
*現代/日常/学園/友情/性描写/NL/GL/BL

読み切り短編

ごちゃ混ぜ作品集
*現代/日常/ファンタジー/人外/流血/性描写/NL/GL/BL

眠れる桃
休止中
妖狐、龍、人間、幽霊…絡まり合う生死と愛
*レトロ/和/ファンタジー/人外/流血/性描写/NL/BL

Stray Mermaid
休止中
娼婦が「人魚」と呼ばれる国の風俗事情
*ゴシック/洋/風俗/性描写/NL/GL



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 百合小説へ
にほんブログ村


小説(BL) ブログランキングへ


スポンサーサイト

2020.12.31 
林檎に牙を:全5種類


遠距離恋愛中の鷹とウサギ、女装癖の黒猫と従順な大型犬…
女×女、男×男の同性愛カップル達により織り成される日常。
アダムとイブになれなくても、此れを愛だと信じる獣達のお話。






キャラクター紹介(別窓)

*性描写を含む物はRが付きます。
*up



雪菜×早苗(♀×♀)
身長差/同級生/社会人×専門学校生
卒業を機に告白した事で「彼女」同士になった早苗と雪菜。
いつも一緒には居られなくても。
毒舌家な鷹とおっとりウサギの遠回りな恋。

*ウサギは何にも喋らない/告白
*捻り散らした花弁は淡桜/新生活
 <01>/<02>/<03>/<04>/<05>/end
*Cherry Soda Melancholy/高校三年生の春(1年前)
*違える花の名/一緒に居る為の隠し事



七海×秋一(♂×♂)
身長差/年下攻め/装丁家志望(男の娘)×調理師
昼はデザイン系専門学校生、夜は女装キャバ嬢をしている七海。
ある日、「捨て犬」秋一と気紛れで夜を共にしてしまい…
七変化の黒猫と一途な大型犬の慌ただしい恋。

*お洒落黒猫と遠吠え犬ブルース/初めまして(2年前)
 <01>/<02>/<03>/<04>/<05>/<06>/<07>/end
*オパールの恋人/好き?(2年前)
 <01>/<02>/<03>/<04>/end
*オスカーフレンズ/交際宣言(2年前)
*コバルトブルーの鍵/同棲スタート(2年前)
 <01>R/<02>不定期連載中
*I say nya-o/猫の日.2015
*Magic Rose Jam/口紅遊び

*パンプスを履いた猫/七海+烏丸/キャバ嬢になった訳(2年前)



拓真×遼二
体格差/年の差/製菓学校講師 助手×生徒(♂×♂)
行きつけカフェの「穏やかで笑顔が柔らかい店員」が自分の生徒になった。
助講師の拓真は、店と学校で違う顔の遼二に振り回されてばかり。
包容力豊かなクマと腹黒ヒツジの空回る恋。

*作品数が多いため別窓



一ノ助×蘭子(♂×♀)
体格差/幼馴染/大学生×高校生
親友に彼女が出来た事で、一人の時間を持て余すようになった蘭子。
幼馴染の一ノ助と距離が近付いたり、バイトを始めてみたり。
大雑把な虎としっかり者な文鳥の大人になろうとする恋。

*文鳥はフォークの上に/ケーキの時間
 <前編>/<後編>



楔波×和磨×紫亜
同級生/学園/3P/R18中心/高校生(♂×♂×♂)
学校で有名な不良双子と身体から先に始まった関係。
深く静かに恋愛感情が育ち始める楔波と紫亜、ペット扱いに一喜一憂の和磨。
ドS双子の蛇とゆるふわ龍の茨道な恋。
*はちみる の桜桃 愛さんとのコラボ企画です。

*作品数が多いため別窓

*Ginger&Mint/透子+和磨/君の幸せを願う
*Caramel&Honey/透子+和磨/君には敵わない



劇中劇
*焔のグラナイト/少年漫画、アニメ
*鬼門クラブ/少年漫画



頂き物
*青、藍、若しくは祝福/縹さんからの鞍吉君+和磨/イラスト
*World Vivid/和隆さんからのルビーさん+和磨/イラスト
*歓喜の毛並み/縹さんからの一ノ助/イラスト



にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ   にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 百合小説へ
にほんブログ村  にほんブログ村


小説(BL) ブログランキングへ


2020.12.31 
林檎に牙を:全5種類
高校生になって最初の夏休みは非常に健全なものだった。
皆が遊び回って浮かれている中で、少なくとも遼二にとっては。

朝から太陽を浴びながら駅に向かい、制服に着替えての労働。
何しろ春から始めたバイトにも慣れ始めたのだ。
長時間のシフトも任されるようになり、楽しくなってきた頃。

学校の後では疲れるものだが、労働だけで一日が終わるのは気楽だった。
ガラス戸の向こう側は目に痛いほどの陽射し。
駅ビル全体はクーラーで涼しく、暑い時間帯を何食わぬ顔のまま過ごせた。
汗だくで冷たい飲み物を求めて来る客には思わず笑みも優しくなる。


今日も混雑する時間は無事に終わり、気温も緩やかに下り坂。
交代の頃を意識すると余計な力も抜ける。

それにしても、8月になって客層の年齢幅が更に広がってきたと感じる。
カフェと云うと若者向けのイメージになりがちだろう。
しかし、モノクロで落ち着いた「Miss.Mary」は人を選ばない。
駅ビルなので、ちょっとした遠出の遊びや旅行などの休憩に使われていた。

勿論、通常の駅利用者にも。
一期一会だけでなく見知った顔が混じっているもので。

無造作な癖っ毛に人形じみて整った面差し、長身の少年が一人。


「あー……いらっしゃいませ。」
「あからさまに目逸らしたね、早未ってば。」

カウンターを隔てて店員と客としての再会。
遼二の不在時は知らないが、神尾が店に来たのは初めてではないだろうか。

“健全”なんて言い表したのは、神尾と顔を合わせない事も意味していた。
何しろ遼二にとって疚しさの象徴。
ただ触れ合うだけの関係であって恋人ですらない。
休日に出掛けたりした事はあっても、飽くまで肌を知る前の話である。

不意に、あの狭い音楽準備室の匂いを思い出した。
こんなにも明るく生気の溢れた場所には似つかわしくない埃っぽさ。

「おれが来ても良いって言ったじゃない。」
「……社交辞令ですよ。」

あれはいつの会話だったか。
確か、別の遊び相手と来ても良いとは言った気がする。
その時は自分と他人のふりをしてくれとも。


この店はカウンターで注文を取ってから席に着くシステム。
いつまでも突っ立っている訳にも行かない。
無言のまま急かされて、神尾もようやくケーキと飲み物を決めた。
オーダーを厨房に伝えた遼二が溜息を吐いたのを気付いたか、どうだか。

「Miss.Mary」はシフォンケーキ専門店。
軽い口当たりで甘さ控えめなので、気楽に立ち寄れるのが売り。

夏の限定メニューはミントとシトラスの組み合わせ。
コーヒーの注がれたカップを添えて、恭しくトレイを渡した。
会計も済ませたが、接客はこれにて終了とはいかず。

注文を伺った時、遼二が溜息を吐いた本当の理由は。


「コーヒーちょうだい。」
「はいはい……」

気前が良い事にホットコーヒーは何杯でもおかわり自由。
ポットを持つ店員は巡回中に呼ばれたら、すぐさま駆けつけねばならない。

軽くなったカップに、湯気を立てながら流線型を描く黒褐色。
お坊ちゃんの神尾が相手だと執事か何かになった気分。
束の間のごっこ遊びで、思わず笑いそうになる。

涼しい店内で熱々のコーヒー自体が贅沢。
優雅な午後、そこにケーキまで付くのだから言う事はないだろう。


「あのさ早未、バイト終わるのって何時?」

質問されたのはそんな時だった。

のんびりお茶する客ばかりで空席も出来るようになってきた頃。
軽い雑談も接客のうちとみなされるので、神尾に足止めされていても問題無し。

「後でアイスでも食べないかな、と。」
「別に良いですけど、僕まだ終わらないから待ちますよ?」
「別に良いよ、おれも。」
「ああ、そうですか……まぁ、コーヒーでも飲んでて下さい。」

曖昧に濁したり、断ったりも手。
実際、神尾の来訪自体をあまり歓迎していなかったのだ。
誘いを受けてしまったのは諦念と云うか。


此方の本心を分かっているのかは知らないが、神尾は一つ頷いた。
そうしてすぐさま鞄を漁り、藍色の背表紙を取り出す。
例の手帳に遼二との約束を加える為。
そんな僅かな時間で忘れる訳でもあるまいに、思わず訝る目になってしまう。

目の前で開かれても、遼二は中身をなるべく見ないようにしていた。
遊び相手との予定やルールが書き込まれているのだ。
魔女の鍋を覗き込むようなもので、そんな恐ろしい事は出来るものか。

尤も、鍋の具材に数えられる遼二が言えた立場でないが。
神尾が誰と肌を重ねていたって知った事でもなく。

「書き留める必要なんてあります?」
「あるよ。何て言うかな、おれは人と約束するのが好きだから。」

その返答も思わぬものだった。

「約束を交わした時点でその人が特別になって、秘密みたいになる感覚が良い。」

こうやって神尾はよく思いがけない事を口にする。
「分かる」とも「何だそれは」とも言い返せなくなってしまう。
そこまで自由に振舞えない遼二からすれば、やはり別の生き物なのだと。


「約束って守らなきゃ意味が無いですけど。」
「そうだねぇ、だから早未も忘れずに来てよ。」

皮肉のつもりが、打ち返されて釘を刺された。
待たせる身になるのは遼二なのだから仕方ないのだけれども。
好きで待つくせに偉そうな。

神尾の席を離れたら、また仕事の顔に戻って給仕に精を出す。
この制服を脱ぎ捨てるまでは。
早いところ片付けてタイムカードを切らねば。
植え付けられてしまった感情も、アイスと一緒に溶けますように。



*クリックで応援お願いします

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


小説(BL) ブログランキングへ


2017.08.06 
林檎に牙を:全5種類
あの本で待ってる

ページを開いて、世界を広げて
そう遠くない昔話
ずっと此処に居るから、待ってるから

たとえ淡い幻だったとしても、忘れないで

  


READ MORE▼

2017.08.06 
林檎に牙を:全5種類


ういちろさんから頂きました、梅丸です。
前回いただいた「血は蜜より甘く」の対にもなってます。

今回は赤と白カラーリングで2色のみだからクールな仕上がりで!
高校生編からほのぼの話ばかり続いてますが、夜は相変わらず激しい二人です。
引っ掻くし噛むし、キスマークもいっぱい。
そんなに露出してる訳じゃなくても、傷って色っぽいです!(*≡∀≡)+.:゜ウヘヘ
梅丸が他人に肌見せないようにしてるのと、嵐山君は海とかプール嫌いだから
行きたくないので余計に…だそうで。
夏でもお出掛けよりお家デートがメインになりそうです。

ういちろさんありがとうございました!

2017.07.25 
林檎に牙を:全5種類
浅い夢は蛙の声で消え去った。
寝静まった田舎道には夏の風物詩がよく響き渡る。
窓には視線もくれず、シーツに寝そべったまま公晴はただ聴いていた。

部屋は目を閉じても開けても真っ暗闇。
時計も読めないが、もう日付は変わっている頃だろう。

この頃は湿気で息苦しくて、眠りが浅くなりやすい。
普段なら寝つきが良い方の公晴もゆっくりと起き上がった。
何か冷たい物が欲しいところ。
面倒に思いつつも、忍び足で目指すは台所。


カーテンの閉め切った部屋と違い、廊下の窓からは眩しい月。
暗さに慣れた目を凝らし、手摺を握りながら一段ずつ階段を降りる。

丑三つ時の庄子家は灯りが残らず消えて、多少の物音では誰も起きやしない。
一家の稼ぎ頭、祖父が規則正しい生活を送る主義の為。
「寝る間を惜しんでも良い作品は書けない」と荒井新月は語る。
物書きは徹夜とばかり世間で思われがちなので、驚かれたものだった。


故に、まさか台所に先客が居たなんて心臓が止まりかけた。
流し台の蛍光灯で浮かび上がった人影一つ。


「……え、来てたの?何してんの、叔父さん。」

ホラー映画の1シーンじゃあるまいし、脅かさないでほしい。
散々見慣れた筈でも、自分が体験するとなるとまた違う。
ああ云うものはエンターテイメントだからこそ楽しいのである。
決して自分が怪物に襲われたい願望がある訳ではない。

影の正体とは、明かされてみれば拍子抜け。

端正な細面に切れ長の目はクールビューティーと云った風貌である。
背丈はそれほど高くないにしても締まった身体つき。
母と年が離れた30代だが、黒髪も肌も艶やかで実際より若々しく見えた。

この色男が祖父の息子だと云うのだから不思議である。
茶系の癖っ毛にどんぐり目なだけ、公晴の方がよほど似ているのに。

隣街で一人暮らしをしている叔父で、名は肇。
公晴が生まれた頃はまだ高校生だったので一緒に住んでいた時期もある。
自立心が高く、海外へも行っていたが数年前に帰って来た。
今は専門学校でフランス語の講師をしていた筈。


「ちょ、無言のまんまだと怖いよ、叔父さんてば……」
「素敵なお兄様と呼んでくれないか。」

それは、愛読しているホラー漫画の有名な台詞だった。
キャラクターを真似た肇は口端だけで笑う。

肇が独り立ちで実家を出る際、本棚一杯に残したホラー漫画の数々。
大御所の代表作から隠れた名作まで。
中にはやたらと古めかしい物もあり、不気味さが増していた。

絵本と一緒にそんな漫画ばかり捲って育ったのだ。
公晴が怪談好きなのは叔父の仕業。


それより、相変わらず質問には答えてくれない。
見れば分かるとでも言いたげ。
流し台の前に立つ肇は桃を持っている。
ちょうど剥くところに邪魔したらしい、そう云えば好物だったか。

丸々した薄紅色を見ていたら、公晴も喉が渇いていたのを思い出した。
身体に残る水分が唾になって溢れてくる感覚。

「桃良いなー、オレも食べたい。」
「冷蔵庫にもう一つある。」

欲しければもう一つ剥けと突き放す返事。
そう、分けてくれる訳が無いのだ、よく知っている。
公晴の分があるだけまだ良いと思わなければ。


桃はよく熟れていて、掌にひんやりとした重み。
生え揃った産毛の感触は丸まって眠る生き物を思わせる。

そう云えば生の桃なんてあまり触れる機会が無かったかもしれない。
柔らかすぎるので下手な力では崩れそうだ。
いつも食卓に上る時は既に切り分けられた状態、もしくは缶詰。
ただでさえ旬が短いので口にするのもいつ以来か。

こうなると、肇の真似をするより他に手は無し。
長い指が桃を弄ぶ様を黙って見る。

爪を立てた程度では破れないのでナイフの出番。
縦の溝に沿って浅く刃を滑らせて、ぐるりと一周する。
切り込みに溢れる甘い汁。
そこから皮を捲れば、真っ白な身が剥き出しになった。


「ベッドで服を脱がせるみたいだろう?」

肇が零したのは睦言にも似た低音。
思いがけない台詞に、公晴の持つナイフが危うく指に掠めてしまった。

何を言い出すのだろう、この人は。
「セクハラ」と口答えするのも蒸し返すようで躊躇われる。
同じ親戚でも酒飲みの中年男性なら笑い飛ばして終わりだったろう。
小奇麗な肇が相手だと、一時の冗談でも妙に色気を持つ。


甘い香りを漂わせながら滴り落ちる桃の蜜。
夜に沈んだ家の中、雫の音すら聴こえそうな錯覚をもたらした。

そうして飢えた吐息一つ、肇が桃に歯を立て始めた。
貪られる蜜の音は幻でなく今度は確かに響く。
あんな事を言われた後だ。
まるで情交の一幕を見ているようで、何だか落ち着かない。

その所為で出遅れてしまったが、公晴も桃に口づけた。
瑞々しい甘さが唇を濡らして喉が鳴る。
たちまち同じように溺れてしまったのは言うまでも無し。

暑さで渇いていた身体に沁み込む蜜。
獰猛なまでに柔らかな果肉を齧り、舌を這わせて味わう。
口も指もべたつきながら、それでも止まらない。
それこそ種一つになるまで夢中になった。




以来、桃を見るたび公晴はあの夜の出来事を思い出す。
舌先に蘇る蜜で唾液が湧いてくる。

今となっては夢だったのではないかと曖昧だけれど。

翌朝には肇の姿など無く、家族の誰もが来訪を知らなかったのだ。
そもそもあんな時間に居た事自体が奇妙。
実家なのだから好き勝手に振舞っていても問題ない、確かに。
それにしたって、忍び込んで桃を盗み食いするなど意味が分からない。


「あのさ、叔父さん……いや、やっぱ何でもないや。」
「何だ、言いたい事ははっきりしろ。」

本人に問い質せば真実は明らかになる。
後日顔を合わせた時に言い掛けたが、やはり途中で止めた。
訝る肇には笑って誤魔化す事にして。

不思議な事は解明しないままの方が素敵じゃないだろうか。
それは公晴が怪談を愛するのと同じ理由で。



*クリックで応援お願いします

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


小説(BL) ブログランキングへ

2017.07.20 
林檎に牙を:全5種類
早生学園高等部
幼稚舎から大学まで一貫している私立、偏差値は中の上。

望月 青葉(モチヅキ アオバ)/♂/176㎝
二年生/演劇部(副部長)
ふんわり癖毛、伏し目がちで前歯大きめ。グレーのウサ耳パーカー。
物憂げで飄々としており、他人に流されない。幼馴染の忠臣が好き。
演劇部では女装が板についてきている。

芹沢 忠臣(セリザワ タダオミ)/♂/170㎝
二年生/帰宅部
ツンツンベリーショートで三白眼、柄は悪いが生真面目な読書家。
皮肉っぽく短気。青葉とは10年来の幼馴染で悪友。

北倉 千紗(キタクラ チサ)/♀/158㎝
二年生/演劇部
青い花のピンで留めた長い髪、黒々とした瞳。
柔らかな物腰ながら欲望に忠実な文学少女。

庄子 公晴(ショウジ キミハル)/♂/168㎝
三年生/演劇部(脚本)
ふんわり褐色の髪、丸っこい黒目の童顔。嵐山の従兄。
人当たりが良く、ちょこまか機敏。マスコットとして可愛がられている。
怖い話が好きで創作怪談のブログが趣味。文系だが運動も得意。

白部 星一(シラベ セイイチ)/♂/175㎝
三年生/演劇部(部長)
毛束太めのミディアム癖毛、アーモンド形の尖った目。食欲旺盛ですぐ空腹。
舞台では悪役が多いが、普段は面倒見の良い先輩。
真っ暗では眠れないくらいの怖がりなので公晴の怪談には辟易している。

嵐山 悠輝(アラシヤマ ユウキ)/♂/165㎝
二年生/演劇部(衣装係)
サラサラな褐色の髪に切れ長の目、線が細い。手先が器用。
興味ない事には恐ろしく素っ気なく、愛想も無い。
反面、大事なもの(人)にはとことん執着し、梅丸に対して嫉妬深い。
*Character by りんごあめ(ういちろさん)

梅丸 灯也(ウメマル トウヤ)/♂/178㎝
二年生/演劇部(大道具係)
ワックスで癖を付けた赤味の髪、一重で釣り目。無表情の強面で不良に見られがち。
黙っていればクールなのだが、訛り口調の所為でいまいち垢抜けない。
独占欲の強い嵐山に振り回されつつも、可愛くて堪らない。



北紅高校
北紅駅前のアーケード街を抜けた先にあり、自由な校風。

早未 遼二(ハヤミ リョウジ)/♂/172cm
二年生/カフェバイト
鳥の巣めいた癖毛に眼鏡、クールで大人っぽい雰囲気ながら眠たがり。
女子から評判は良いが、幼馴染の兄に長年片思いしている同性愛者。
バイトの無い放課後は神尾と昼寝・触り合うだけの仲。

神尾 承史(カミオ ヨシフミ)/♂/181㎝
二年生/劇団所属
無造作な黒髪、伏しがち垂れ目に緩い口許。ラピスラズリのピアス。
いわゆる田舎の権力者の息子。当人にとってはどうでもいい。
独特の価値観と観点の変わり者。色気があり、来るもの拒まずなので遊び相手が複数。
最初から遊び以上にならないと言い渡し、一人ずつ公平なルールを決めている。



庄子 肇(ショウジ ハジメ)/♂/174㎝
職業:英語、フランス語講師/34歳
サラサラの黒髪ショート、筋肉質で細身、細面に切れ長の目。
嵐山と公晴の叔父。庄子家の末っ子長男で姉達とは10歳近く離れている。
沈着冷静と評判の色男だが、隠れサディストで甥達には大人げない面もあり。
現在は隣街に在住、乾専門学校に勤務。

2017.07.20 
林檎に牙を:全5種類
「梅さーん、今帰り?」

鞄を下げて昇降口前、肩越しの声に梅丸は振り返る。
昔から友人達にはそう呼ばれてきたので、すっかり耳に馴染んでしまった。
高校に入ってから人数はまたもや増えた事だし。

声の正体は、そのうちの一人。

カラメル系の髪は嵐山に似ていて見慣れた色合い。
しかしふわりと癖がついて、髪だけでなく顔立ちなども全体的に柔らかい。
庄子公晴、嵐山の従兄で演劇部の先輩である。
広い学校なので部活の無い日に顔を合わせるのは珍しい。

「ん、まぁ……ユウ待ってたとこ。」
「時間大丈夫?バス通学だと時計見ながらの行動になるよねぇ。」
「そうだんべねぇ、だから今日は寄り道してから最後のバスに乗るんさ。」
「そっか、放課後デート楽しんできてね。」

そして梅丸と嵐山の関係も知っている。
「デート」なんてあっさりと口にする公晴は何でもない顔。

人柄も柔らかいのは外見通り。
下手に構うと棘を刺す嵐山とは対照的だ。
だからこそ、気難しい彼が心を許す数少ない相手でもある。


「そうだ、梅さん良かったらコレ食べない?」

おやつを持ち歩いている公晴は自分用だけでなく、人にもよく分け与える。
ちょうど小腹も減っていたので梅丸も歓迎。
そうして取り出された今日のお菓子はチョコサンドクッキー。
クマの顔を象ったクッキーにクリームが挟んである。

袋が振られて、気前よく何枚か梅丸の掌にクマが落ちる。
半分は嵐山に残してあげようかと思っていると。


「あ、ユウちゃんが来る前に食べ切っちゃってね。」

見透かすように付け加えられて、少なからず驚いた。
意地悪で言ったのではないだろうけれど、どう云う事なのやら。

「うーん……ユウちゃん、顔の付いてる食べ物苦手なんだよね。」
「何なんそれ?」

梅丸が首を傾げると、公晴が少し抑えた声で昔話を始めた。
それはまだ嵐山も公晴も幼児だった頃。

庄子家に遊びに来ていた時、おやつでひよこ饅頭が振舞われた。
可愛い物が好きな嵐山は大変喜んだ。
愛しげに眺めたり撫でたり、とうとう「飼う」とまで。

しかし残念ながら所詮は食べ物。
その時、食い意地の張った祖父が居合わせたのも悲劇だった。
「要らないのなら」と奪われて、頭から無残に食い千切られた悲劇。
嵐山が号泣した事は言うまでも無し。

「進撃の巨人でエレンが母親食べられた時と同じ顔してたよ。」

飽くまでも深刻そうな口調。
笑わせるつもりで言ったのではないらしい、どうやら。


祖父を恨むまではいかないにしても、幼少期のトラウマとは根深い。
それ以来、目鼻のある食べ物は明らかに避けているらしい。
「食べるのが勿体ない」と「顔が崩れると怖い」が理由。
ずっと親しい付き合いのある公晴が言うだけに、間違いないだろう。

そう云えば、貰ったクマを見ていると分かる気もする。
表面がひび割れて渋い顔が中に一枚。
なるほど、確かに直視していると何となく不気味だ。

言いつけ通り、クマは早めのペースで梅丸の口に消えていく。
噛み砕けばただのクッキー、そんなものだ。

「饅頭怖いって落語みてぇだんべな、意味違うけど。」
「いやー、ユウちゃんが怖いのは他にも……」

そこまで言い掛けて、公晴は口を噤んだ。
プライバシーにも関わる事なので喋り過ぎたと自重して。
何しろ自尊心の高い嵐山だ、知られたら不機嫌になると決まっている。

が、中途半端に切られては梅丸が困る。
恋人の事なら何でも知りたい、そう云うものだ。


「本人に聞くと良いよ、梅さんなら教えてくれるかもしれないし。」

ホラーを愛する公晴の方こそ果たして怖い物なんてあるんだか。
興味があるような無いような、何とも言えない気分。

そうして手を振ると、公晴は靴を履き替えて去って行った。
嵐山家の近所だが自転車なので通学時間が掛かるのだ。
よく食べる分だけ、それなりの距離があっても平気で毎日往復している。
そこも体力の無い嵐山と差が目立つ。

それにしても、難題を提示してくれたものだ。
弱みを見せたくない嵐山が自分から話してくれるとは思えないのに。




「ユウって怖い物とかあるん?」
「は?何だよ急に。」

全くもって予想通りの反応。
睨まれると却って笑いそうになってしまって、ますます訝られる。


合流してから学校の外、並んで歩きながらの会話だった。
街中に門を構えているので周辺を散策するだけで寄り道する店は事欠かない。
実際、お茶している早生学園生の姿は窓ガラス越しに何組も。
敷地は少し離れていても、幼稚園から大学まであるので年齢層が幅広い。

「いや……公先輩に会った時、そんな話になったんさ。」
「あぁ、そう。けどさ、訊ねる前に自分から言うのが筋じゃないの?」
「ん、俺?強いて言うんなら、でけぇカエルはあんまし触りたくないんねぇ。」
「灯也、カエル怖いとか女子かよ……」
「アマガエルとか小さいんは平気でも、サイズオーバーは別物だんべ。」
「まぁ、質感が気持ち悪いのは分からないでもないけど。」

予定を決めず、取り止めのない話を続けながらの足取り。
このまま時間が過ぎて行くのは勿体ない。
最後のバスと決めていても、刻一刻と迫ってきているのだ。


梅丸としては、何でも良いから食べたいのが正直なところ。
クッキーを摘まんだら空腹を呼び覚ましてしまった。

そんな時に視線を引き付けたのが、赤い看板に黄色のマーク。

「マックとかどうかねぇ、腹減ったし。」
「嫌だよ、何でよりによって……!」

軽い気持ちの提案だったのに、対する嵐山の声は思いのほか鋭い。
普段涼しい態度を崩さない梅丸が驚いてしまったほど。

確かに、お坊ちゃんなのでファーストフードは普段から口にしないだろう。
そこを考慮して反対するのは頷けるが、この返答は何かおかしい。
よっぽどハンバーガーが嫌いなのだろうか。

「よりによって、なんて何かあるん?全然分からん。」
「灯也……、本当は公君から聞いたんじゃないのか?」
「ますます分からん。」
「だから、僕が……ピエロ怖いって。」

やっと口籠りながらそう白状した。
恋人の欲目、観念した表情が拗ねた子供のようで可愛い。


溜息の後、嵐山は渋々と理由を話し始める。
嵐山家の近所には大型スーパーがあるのだが、昔はマクドナルドも入っていた。
その店頭には等身大のドナルド人形も。
小さな子供の身長からすると、それはそれは巨大。

見上げるたびに背筋が震えて、なるべく目を閉じて通り過ぎていたらしい。
ハンバーガーまで苦手になってしまったのは大袈裟かもしれないが。

ただでさえピエロはホラー映画でもよく怪物として登場する。
「IT」のペニー・ワイズなんて代表的。
公晴はB級の「キラークラウン」の方が好きらしいが。
面白いからと勧められた時、嵐山は丁重に断りつつ冷や汗ものだった。


此方を窺う嵐山は目に疑惑の色。
心配しなくとも、黙って聞く梅丸は笑ったりしない。
微笑ましいとは思っていても。

「まぁ、怖い物一つ二つあった方が可愛げあるべ。」
「可愛いとか、嬉しくないし。」

憎まれ口を叩いたところで、嵐山の表情にも何処か安堵が混じる。
重い物は吐き出し終えれば気楽。
やっといつもの調子に戻った、それで良いのだ。


まだこんなに明るい往来では繋がれないままの手。
それでも二人で出来る事なら沢山ある。
時間一杯、今日も共に過ごそう。

怖い物が人知れず蠢き出す、夕闇が迫る前に。



*クリックで応援お願いします

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


小説(BL) ブログランキングへ


2017.07.14