林檎に牙を:全5種類
*R指定描写(♂×♂)

暗中模索な初BL。
公式なのかパラレルなのか、本当に色々と曖昧。
私の中で此の二人は両者共に受けです、が!

基本的に他人に態度悪い和磨にとって、遠雷は対等に話せる貴重な一人。
恋愛感情とかは無いです。
視界に立ち塞がった濃い影に、身体ごと呑み込まれた錯覚。
陥りそうになって和磨は密かに振り払った。
背だって自分の方がずっと高いにも関わらず、何を馬鹿な。

冴え冴えとした切れ長の眼の所為だろうか。
刃物に似た鋭さを持つ、金色。
こんな息が掛かる距離になるまで意識した事が無かった。
否、其れどころか。
今まで顔すら碌に見ていなかったかもしれない、遠雷と云う男を。

其れは、何も彼だけの話ではなかった。
和磨にとっては限られた者さえ傍に居れば良かったのに。



「キスは要らない、よな?」

頬に手を添えられても拒絶を口にするまでもなかった。
見透かされていた事に顰め面をして、溜息。

「……解る?」
「ん。苛立って、不安で、力任せに何か壊したい、てだけだろお前。」
「そんなに腑抜けてた?」
「別に珍しい事じゃねぇよ、誰にだって。」

虚勢を張っても無駄か。
思わず解けてしまった表情は、泣きそうな。

「今は、忘れたい……」
「あぁ……、其の為だろ?」

此の時間に呼び方なんて要らないだろう。
名前を付けて無理に納得させようとして、止めた。
救済でも、遊戯でも、何でも良い。

助かりたい訳じゃなくて、一瞬逃げたかっただけ。



早々顔を合わす相手ではないし、弱みを晒しても気兼ねは不要。
此処だけは別世界だと思おうと。
嗅ぎ慣れない匂いが意識まで染み込んで、朦朧としてしまう。

肌の薄い部分を探り当てる指先は堅く、塗れた唾液で滑る。
先程まで舌を摘まれていた所為。
噛む物を失った唇は元から声を押さえる術を知らない。
眼を瞑る事さえ叶わずに。


片手で易々と足首を握られて、心臓が跳ねた。
背徳が揺れる。


割り広げられた脚の付け根、顔を埋められて息が上がった。
抗うのも構わずに腰を抱えて離さない。
此処からでは見えない表情は変わらず平静としているだろうか。
押し退けようと抗っても、髪を掴む事しか出来ず。
掻き乱れる薄茶が掌に冷たい。

濡れた先端を辿る舌に震え上がる。
何の躊躇いも見せず、口腔の奥へ引き込まれた。


「やっぱ……ちょっと、待って、」


途切れるばかりの抵抗なんて酷く情けない。
けれど、もう臨界点。
口から離していたのは悟っていたのか、如何か。
相手の眼前で白濁が弾けた。



「お前、女みてぇ。」


熱も裏側も持たずに呟かれた。
頬を滴り落ちる男の体液、其のままで。
そんな顔で言う事?


金色の眼と言葉は粘着かない。
だから、惚れたりしなくて済みそうだと思う。
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2009.08.14