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*性描写(♂×♂)
神尾は学ランの下に白いパーカーを合わせたスタイル。
詰襟がフードで隠れていると服の印象も変わる。
捲った裾から誘われて、素肌に触れた。
薄くて固い胸は確かに男の物。
遼二の好みを云うなら、もっと厚みのある方が良かった。
こんなものか、とも頭の片隅でだけ思う。
それでも、こうして他人の体温に浸ったのは初めて。
先程触れた唇や頬は乾いていた。
布の下で滑らせた指先に、薄っすらと伝わってくる湿度。
神尾の舌に触れた時とよく似た感覚だった。
まだ太陽は傾いただけ、よく晴れた春の午後。
窓から差し込む陽射しで狭い室内はとても暖かかった。
少しだけ埃っぽい空気も緩んでいる。
そんな中で肌を晒したって寒くなどない。
学ランとパーカー、黒も白もカーペットに投げ捨てられた。
「早未が上で良いよ。」
毛布の上に寝そべりながら半裸の神尾が誘う。
視線だけは遼二から離さないままで。
腹を見せる格好は服従のポーズか、それとも余裕の表れだか。
「初めてだと怖いんじゃないの、おれみたいにでかいのが乗ったら。」
「別に、怖くはないですけど……」
今度は動揺を何とか呑み下した。
そう、怖くなんてない。
戸惑いはあるものの、寧ろ牙を立てたい気分。
欲望のままに喰い付いても神尾は受け入れてくれるだろう。
でもそれはしたくなかった。
此方ばかりが求めて、相手は手慣れた反応なんて癪で。
欲はあっても、どう触れたら良いのか。
噛み付きたいところだが、相手は舞台に立つ身。
役者なら痕を残さない方が良いだろう。
そうして手探りでいたら、あちらから首筋に吸い付かれた。
ああ、やられたか。
脈打つ場所だけに、浅く噛まれても痛みは鋭い。
喰い千切られたりしないと判っていても、何となく身構えてしまう。
自分からは見えないので痕が出来たかどうだか。
どうせ詰襟で隠れるとは云えども。
首に顔を埋められたまま、神尾の手が髪を撫でる。
柔らかい癖毛を絡ませる指先。
甘い雰囲気なんてやめてほしい、恋人同士でもあるまいし。
神尾の蕩けた表情が見たくて始めた事なのに。
頬が熱くなったのは遼二の方だった。
もっとゆっくり味わうのはまた今度。
素肌を撫でたり舐めたりしているうちに溜まってきた熱。
下腹部が苦しくなって、いい加減にジッパーも緩める。
剥き出しになると息も乱れた。
お互いの手が粘液に浸る。
他人の性器に触れたのなんて、初めて。
空いた方の手で肩を寄せ、毛布の上で身体が密着する。
シャツの肌蹴た遼二と、脱ぎ捨てた神尾。
裸の胸が重なって心音が響き合う。
「……ッ、うぁ……」
いつも一人きりの時にしている事。
それなら始終無言なのに、今は声が漏れそうで奥歯を噛む。
擦り上げるたび溢れて、耳に絡み付く水音。
自分との違いなんて碌に判らない。
其処に触れているのは誰だか、境界線が曖昧になっていく。
ふと、神尾の顔を盗み見る。
相変わらず半開きの口許。
ただ、更に緩んでいるのは確実だった。
あちらも吐息は甘くなり、薄く涎まで垂れている。
唇が艶々としているのは濡れている所為。
何だ、こんな表情も出来るんじゃないか。
その変化に何よりも昂ぶった。
沸点まで、あとほんの少しだけ。
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詰襟がフードで隠れていると服の印象も変わる。
捲った裾から誘われて、素肌に触れた。
薄くて固い胸は確かに男の物。
遼二の好みを云うなら、もっと厚みのある方が良かった。
こんなものか、とも頭の片隅でだけ思う。
それでも、こうして他人の体温に浸ったのは初めて。
先程触れた唇や頬は乾いていた。
布の下で滑らせた指先に、薄っすらと伝わってくる湿度。
神尾の舌に触れた時とよく似た感覚だった。
まだ太陽は傾いただけ、よく晴れた春の午後。
窓から差し込む陽射しで狭い室内はとても暖かかった。
少しだけ埃っぽい空気も緩んでいる。
そんな中で肌を晒したって寒くなどない。
学ランとパーカー、黒も白もカーペットに投げ捨てられた。
「早未が上で良いよ。」
毛布の上に寝そべりながら半裸の神尾が誘う。
視線だけは遼二から離さないままで。
腹を見せる格好は服従のポーズか、それとも余裕の表れだか。
「初めてだと怖いんじゃないの、おれみたいにでかいのが乗ったら。」
「別に、怖くはないですけど……」
今度は動揺を何とか呑み下した。
そう、怖くなんてない。
戸惑いはあるものの、寧ろ牙を立てたい気分。
欲望のままに喰い付いても神尾は受け入れてくれるだろう。
でもそれはしたくなかった。
此方ばかりが求めて、相手は手慣れた反応なんて癪で。
欲はあっても、どう触れたら良いのか。
噛み付きたいところだが、相手は舞台に立つ身。
役者なら痕を残さない方が良いだろう。
そうして手探りでいたら、あちらから首筋に吸い付かれた。
ああ、やられたか。
脈打つ場所だけに、浅く噛まれても痛みは鋭い。
喰い千切られたりしないと判っていても、何となく身構えてしまう。
自分からは見えないので痕が出来たかどうだか。
どうせ詰襟で隠れるとは云えども。
首に顔を埋められたまま、神尾の手が髪を撫でる。
柔らかい癖毛を絡ませる指先。
甘い雰囲気なんてやめてほしい、恋人同士でもあるまいし。
神尾の蕩けた表情が見たくて始めた事なのに。
頬が熱くなったのは遼二の方だった。
もっとゆっくり味わうのはまた今度。
素肌を撫でたり舐めたりしているうちに溜まってきた熱。
下腹部が苦しくなって、いい加減にジッパーも緩める。
剥き出しになると息も乱れた。
お互いの手が粘液に浸る。
他人の性器に触れたのなんて、初めて。
空いた方の手で肩を寄せ、毛布の上で身体が密着する。
シャツの肌蹴た遼二と、脱ぎ捨てた神尾。
裸の胸が重なって心音が響き合う。
「……ッ、うぁ……」
いつも一人きりの時にしている事。
それなら始終無言なのに、今は声が漏れそうで奥歯を噛む。
擦り上げるたび溢れて、耳に絡み付く水音。
自分との違いなんて碌に判らない。
其処に触れているのは誰だか、境界線が曖昧になっていく。
ふと、神尾の顔を盗み見る。
相変わらず半開きの口許。
ただ、更に緩んでいるのは確実だった。
あちらも吐息は甘くなり、薄く涎まで垂れている。
唇が艶々としているのは濡れている所為。
何だ、こんな表情も出来るんじゃないか。
その変化に何よりも昂ぶった。
沸点まで、あとほんの少しだけ。
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2016.12.21 ▲
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