林檎に牙を:全5種類
指先が伸びたのはあっという間、気付いた時にはもう遅い。
掻っ攫われた盗品は溶けて、跡形もなく。

「泥棒ー……」
「入れちゃったもんね。」

非難の声など何のその、シオンはスプーンを回して悠々と。
砂糖一つのコーヒーカップを唇に傾ける。
顔を顰めているコーニッシュの手元、ソーサーに残った角砂糖は一つだけ。

「二つ入れないと飲めないよ、俺。」
「砂糖くらいでガタガタ煩いわよ、男でしょ?」

角砂糖の為に台所までわざわざ行くのも面倒だ。
溜息一つ、糖分が半分のコーヒーはコーニッシュの舌に痺れた。
ま、今日はダイエットって事で。



*「穏やかな日々に10のお題」より。
スポンサーサイト

2012.01.28